HNK創世記（前編）

あれは確か1997年の秋、長野新幹線開業前夜だったと思う。
長野オリンピック冬季大会に向けて大急ぎで準備が進められていた。
そんな時期わが長野高専の先輩方が提唱して「ヒューマンネットワーク高専」を設立したのだ。
以降の記述ではこの ”Human Network Kosen” を HNK と呼ぶことにする。

設立総会には全国から選ばれた代表幹事を含む２０名もの会員が紀尾井町にあるホテルニューオータニ・ビジネスコートの一部屋に集った。
その場には縁あって私も居合わせたのである、それからしばらくホームページを開設したりあれこれと裏方を務めることとなった。

その場所を提供して下さったのは、とあるヘッドハンティング会社のK社長さんだった。
当初から高専出身者の活躍に注目し支援を申し出てくれたのだ。
むろん転職者の紹介を期待してのことだが、ここで一つ問題が起きた。
支援の見返りとして卒業生名簿の開示を要求されたのだ。
だがこれは受け入れることの出来ない条件だった。
このK社長を長野県上田市にある別所温泉に招待して懇談したが物別れに終わった。

それから提供された事務所を引き払い、メンバーであるO幹事の事務所に間借りして活動を続けた。
月例会もスタートし、毎月持ち回りでメンバーの所属する会社を訪問して見学・懇談・懇親会を催し全国から集まった仲間の絆を深めた。
会誌『赤とんぼ』も発刊されて活動は上昇気流に乗ったように盛り上がったものだ。

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